冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
リュアンのはっきりと通る声は説得力があり、今や周囲からマイルズとイルマに向けられる視線は彼らを非難する厳しいものと変わっていた。ところどころでひそやかに、刺々しい響きを持つ声が微かに届く。
「き、貴様……覚えていろよ! この件は絶対にただじゃ済まさない……。後で後悔しても絶対に許さないからな!」
「待ってよマイルズ! セシリーちゃん、今度もまた、ちゃあんと苛めてあげるから楽しみにしてなさいよね!」
たまらずマイルズは整った顔立ちを羞恥の色に染めて身を翻し、イルマも捨て台詞を吐いて後を追っていく。騒動を収めたリュアンはそれをさも下らなそうに眺めると、店員を呼んで数枚の金貨を押し付けた。
「店を騒がしてすまなかった……すぐに出る」
「少々お待ちくださいませ」
店員はそれを受取ろうとせず奥へ引っ込む。そして出口付近で待つふたりに小さな箱を手渡したのは、恰幅のよい店長らしき人物だ。
「き、貴様……覚えていろよ! この件は絶対にただじゃ済まさない……。後で後悔しても絶対に許さないからな!」
「待ってよマイルズ! セシリーちゃん、今度もまた、ちゃあんと苛めてあげるから楽しみにしてなさいよね!」
たまらずマイルズは整った顔立ちを羞恥の色に染めて身を翻し、イルマも捨て台詞を吐いて後を追っていく。騒動を収めたリュアンはそれをさも下らなそうに眺めると、店員を呼んで数枚の金貨を押し付けた。
「店を騒がしてすまなかった……すぐに出る」
「少々お待ちくださいませ」
店員はそれを受取ろうとせず奥へ引っ込む。そして出口付近で待つふたりに小さな箱を手渡したのは、恰幅のよい店長らしき人物だ。