冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「せめてものお詫びの気持ちです。本日のお代は結構ですので……気を悪くせずまたお立ち寄りいただけるとなによりで御座います」
「ああ、ありがとう。いずれまた伺わせてもらおう」
リュアンの淡い微笑みに、それを後ろから見ていた婦女子たちがきゃあきゃあと喚きだす。彼はセシリーを促すと足早にその場所を離れてゆく。
「すみません……。私事に巻き込んでしまって」
「別に。ああいうやつを相手するのも仕事の内だ。ほら」
こちらに店長から受け取ったケーキ箱を押し付けると、また冷淡な対応に戻ったリュアン。でも、セシリーは嬉しかった。彼は厄介ごとに巻き込まれたのに無視せず、ちゃんと彼女の言い分を認めて守ってくれたのだ。
「……ありがとうございます」
「何度も言わせるな。仕事だし、一応仲間だからな」
仲間――その言葉に、セシリーの胸を温かいものが満たす。
「はい!」
ちょっと現金かもしれなかったが、セシリーは初めてこの時自分も団の一員なんだと自覚すると共に、彼が隣に居てくれることがとても誇らしく思えた。
「ああ、ありがとう。いずれまた伺わせてもらおう」
リュアンの淡い微笑みに、それを後ろから見ていた婦女子たちがきゃあきゃあと喚きだす。彼はセシリーを促すと足早にその場所を離れてゆく。
「すみません……。私事に巻き込んでしまって」
「別に。ああいうやつを相手するのも仕事の内だ。ほら」
こちらに店長から受け取ったケーキ箱を押し付けると、また冷淡な対応に戻ったリュアン。でも、セシリーは嬉しかった。彼は厄介ごとに巻き込まれたのに無視せず、ちゃんと彼女の言い分を認めて守ってくれたのだ。
「……ありがとうございます」
「何度も言わせるな。仕事だし、一応仲間だからな」
仲間――その言葉に、セシリーの胸を温かいものが満たす。
「はい!」
ちょっと現金かもしれなかったが、セシリーは初めてこの時自分も団の一員なんだと自覚すると共に、彼が隣に居てくれることがとても誇らしく思えた。