冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
メイアナの喫茶店①
「――っていうことがこないだあったんですけど、相変わらず団長、あんまり打ち解けてくれてなくて……」
執務室のテーブルをふいていたセシリーは、先日のマイルズとの騒動の顛末を打ち明けた後、キースに愚痴る。ちなみに今日はリュアン仕事で不在だ。近隣の村で魔物の被害が出たらしい。
「それはそれは……。さすがのセシリーさんも、あの頑固者には苦労されているようですね」
苦笑しながらもキースは、書類の上でさらさらと滑らかに万年筆を走らせてゆく。白手袋に包まれた優美な手がしなやかに動く度、セシリーはつい目で追ってしまった。
もはや当の騎士団長よりそれらしい副騎士団長キースの麗容で目の保養を行いつつも、セシリーの不満は留まらない。
「ご飯はちゃんと食べてくれるのになぁ……。すぐふいっと居なくなって、なんだか野良猫に餌づけしてる気分になって来ましたよ。どこかに団長専用のまたたびでも転がってないかしら」
執務室のテーブルをふいていたセシリーは、先日のマイルズとの騒動の顛末を打ち明けた後、キースに愚痴る。ちなみに今日はリュアン仕事で不在だ。近隣の村で魔物の被害が出たらしい。
「それはそれは……。さすがのセシリーさんも、あの頑固者には苦労されているようですね」
苦笑しながらもキースは、書類の上でさらさらと滑らかに万年筆を走らせてゆく。白手袋に包まれた優美な手がしなやかに動く度、セシリーはつい目で追ってしまった。
もはや当の騎士団長よりそれらしい副騎士団長キースの麗容で目の保養を行いつつも、セシリーの不満は留まらない。
「ご飯はちゃんと食べてくれるのになぁ……。すぐふいっと居なくなって、なんだか野良猫に餌づけしてる気分になって来ましたよ。どこかに団長専用のまたたびでも転がってないかしら」