冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 赤髪の新米騎士ラケルだ。彼は元気そうな笑顔を浮かべ、セシリーの隣にしゃがみ込んだ。

「うん! ラケルは任務帰り?」
「昨日からの討伐任務がちょっと長引いちゃってさ。セシリーのご飯楽しみにしてたのに、食べ損ねちゃったな……」
「だったら……」

 食事に夢中のリルルを羨ましそうに眺めつつ、少し残念そうにした彼にセシリーは提案する。

「なんか作ろっか?」
「いや、僕のためだけに作ってもらうのも手間でしょ。悪いよ……」
「気にしなくていいよ、実は私もまだだもの。それじゃ食堂行きましょ!」
「……ありがとう、それじゃお言葉に甘えようかな! リルル、また後でね!」
「ガウ!」

 元気そうに返事するリルルを残し、セシリーはラケルと連れ立って食堂に戻っていった。
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