冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 ――そして、数十分後。

 ふたりの前には、お皿に大きく盛りつけられた、たっぷりチーズのミートドリアが乗せられている。リルルを見て、なんだか肉っ気があるものが食べたくなったのだ。湯気が立つそれを眺めた後ふたりは、ほくほくの笑顔を見合わせて同時にそれを匙ですくった。

「……美味しい! さすがセシリー!」
「ん~、本当! 我ながらなかなかの出来栄えだわ……」

 ふうふうとすくっては冷ましを繰り返しながら、熱々のドリアを頬張り、その後簡単なレタスサラダで口をさっぱりさせる。お手軽メニューだがこのくらいでも十分に満足することができるのは、元が庶民ならではの幸せかもしれない。

「ふう、ごちそうさまでした」
「どういたしまして」

 お腹をさすり、ぼんやりと幸せに浸りながら、セシリーは隣のラケルを見る。
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