冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
色々な場所を旅してきたセシリーでも、中々ここまで綺麗な赤毛は見なかった。瞳もまるで林檎みたいに綺麗な赤で……セシリーはこの間抱き上げられた時、景色ばかりに目が行っていたのを後悔する。きっと彼が魔法を使う時は、宝石みたいな輝きを発してさぞ綺麗だっただろうに。
「少し、話してもいいかな」
「……え? ああうん、なあに?」
改まった感じでラケルが突然こちらを向いたのに動揺しつつ、セシリーは背筋を伸ばし……それがおかしかったのか、彼は口元を緩め、話を切り出す。
「セシリーにはすごく懐いてるから、リルルの話を聞いてもらおうかなと思って」
「ああ、そういうことね。うん! どこで会ったのかとか聞かせて!」
「ありがとう。といっても大した話じゃないんだけど。僕とあいつが出会ったのは、もう十年くらい前なんだ……」
彼は顔にかかる赤毛を払いながらテーブルに頬杖を突くと、目線をそっと俯けて物思いに耽るように話し出した……。
「少し、話してもいいかな」
「……え? ああうん、なあに?」
改まった感じでラケルが突然こちらを向いたのに動揺しつつ、セシリーは背筋を伸ばし……それがおかしかったのか、彼は口元を緩め、話を切り出す。
「セシリーにはすごく懐いてるから、リルルの話を聞いてもらおうかなと思って」
「ああ、そういうことね。うん! どこで会ったのかとか聞かせて!」
「ありがとう。といっても大した話じゃないんだけど。僕とあいつが出会ったのは、もう十年くらい前なんだ……」
彼は顔にかかる赤毛を払いながらテーブルに頬杖を突くと、目線をそっと俯けて物思いに耽るように話し出した……。