冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
すると村長はいくばくか思案し、「今回は魔物相手でよかったが、なにかのはずみで人前でこんなことが起きれば危ない。一度専門家に見せるべきだ」と両親を説き伏せてラケルを王都に連れてゆくと……知り合いの伝手を辿って見つけた高名な魔法使いに引き合わせてくれた。
ちなみに、その時白狼も一緒だった。ラケルは彼にリルルと名付け、人に見咎められないように背負い袋の中に入れると、初めて華々しい王都を訪れたのだ。
目に映るすべてが真新しい煌びやかな都を、きょろきょろ注意散漫な視線で見渡すラケルは、村長に手を引かれ魔法使いの屋敷を尋ねる。
やがて使用人に応接間へと案内され、ラケルと村長はひとりの男と対面した。
厳めしい顔つきに、後ろに撫でつけた白髪交じりの長い髪。いかにも魔法使い然としたその男は短い挨拶を告げた後、ラケルを見るなりこう口にする。
「逸材ですな。これほど鮮やかな火の色をした目は珍しい……! 然るべき師に着けるか、教育機関に入れて早く学ばせるのがよろしいでしょう」
ちなみに、その時白狼も一緒だった。ラケルは彼にリルルと名付け、人に見咎められないように背負い袋の中に入れると、初めて華々しい王都を訪れたのだ。
目に映るすべてが真新しい煌びやかな都を、きょろきょろ注意散漫な視線で見渡すラケルは、村長に手を引かれ魔法使いの屋敷を尋ねる。
やがて使用人に応接間へと案内され、ラケルと村長はひとりの男と対面した。
厳めしい顔つきに、後ろに撫でつけた白髪交じりの長い髪。いかにも魔法使い然としたその男は短い挨拶を告げた後、ラケルを見るなりこう口にする。
「逸材ですな。これほど鮮やかな火の色をした目は珍しい……! 然るべき師に着けるか、教育機関に入れて早く学ばせるのがよろしいでしょう」