冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
そうでなくても、最近は何かと机の上に差し入れを置いてくれていたりして、少し俺も評価を改めている。まだあまり自分から話しかけたりはしないが、ちゃんと仲間として彼女を扱ってやれるよう、自分の感情との折り合いをつけようとしているつもりなのだ、これでも。
(借りは返さないと気が済まないからな、それだけだ……)
俺はむすっとしながら懐に手を当て、内ポケットに入れた小さな包みを確かめた。これはセシリーへ渡すつもりで買ったもので、中身は涙滴型のダイヤモンドが揺れる、シンプルな銀のピアスだ。
せっかちな俺は、任務が終わるとすぐに疲れた足を引きずり、彼女に贈るものを探して街をうろついた。しかし相手は商家の令嬢だ。何をあげれば喜ぶかが分からなくて半ば混乱し、大して親しくもないくせに、よりによって装身具などを選んでしまった。女性なら貴金属という、自分の安直すぎる考えには後悔したが、さすがに返品してまで探し直す気力はもう無い。
(借りは返さないと気が済まないからな、それだけだ……)
俺はむすっとしながら懐に手を当て、内ポケットに入れた小さな包みを確かめた。これはセシリーへ渡すつもりで買ったもので、中身は涙滴型のダイヤモンドが揺れる、シンプルな銀のピアスだ。
せっかちな俺は、任務が終わるとすぐに疲れた足を引きずり、彼女に贈るものを探して街をうろついた。しかし相手は商家の令嬢だ。何をあげれば喜ぶかが分からなくて半ば混乱し、大して親しくもないくせに、よりによって装身具などを選んでしまった。女性なら貴金属という、自分の安直すぎる考えには後悔したが、さすがに返品してまで探し直す気力はもう無い。