冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
セシリーが返事をした後、軽い足音がぱたぱたと遠ざかり、すぐに戻る。
そしてコトコトと机の上に何かが置かれ、心配そうな声音が続いた。
「あの……水と、元気が出るお薬だけ置いておきます。ロージーさんに後で様子を見に来て貰えるよう伝えましたから、動けなくても返事くらいはしてあげてくださいね」
「……ありがとう」
どうにかそれだけ返すと俺は、静かに扉を閉めたふたりが遠ざかるのに安堵した。同時に、腹の底から込み上げてくる笑いに身をまかせる……。
「く……くくくくく……。どうしてなんだ、今さら」
自分で問いかけながらも理由はわかっていた。
ここ数年で、急速に迫っている《大災厄》の封印の寿命。それと時を同じくして訪れたセシリーとの出会いが、俺に今まで目を逸らしていた問題と向き合わせようとしている。
そしてコトコトと机の上に何かが置かれ、心配そうな声音が続いた。
「あの……水と、元気が出るお薬だけ置いておきます。ロージーさんに後で様子を見に来て貰えるよう伝えましたから、動けなくても返事くらいはしてあげてくださいね」
「……ありがとう」
どうにかそれだけ返すと俺は、静かに扉を閉めたふたりが遠ざかるのに安堵した。同時に、腹の底から込み上げてくる笑いに身をまかせる……。
「く……くくくくく……。どうしてなんだ、今さら」
自分で問いかけながらも理由はわかっていた。
ここ数年で、急速に迫っている《大災厄》の封印の寿命。それと時を同じくして訪れたセシリーとの出会いが、俺に今まで目を逸らしていた問題と向き合わせようとしている。