冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「へ~、いいなぁ。私も魔法がもし使えたら、ラケルみたいにビュンビュン空を飛んでみたい! 後、リュアン様みたいに一瞬で移動したり」
「あはは、僕の『浮遊』なんか結構使える人多いけど……団長の『瞬駆』は団でも彼しか使えないし、他のところでも見たことない。僕、こっそりお師匠様に聞いてみたんだけど、もしかしたら隣国でしか伝わっていない、それもかなり特殊な魔法かもしれないって。他には彼は特別な魔法を幾つか持ってるみたい……。ちょっと羨ましいな」
「ふ~ん?」

 魔法に詳しくないセシリーにはその良し悪しの基準がよくわからないのだが、団長が凄いのはなんとなくわかるので、とりあえずふんふん頷いておく。

「そういうのって、教えてもらえないの?」
「無理だと思う。ものによるけど、貴重な魔法ほどおいそれと人には教えないものなんだ。魔法使いの家柄だと、自分の家系にしか伝えたがらない人たちも多くいるしね。……でも、特別な魔法なんて無くたっていいって、お師匠様は言ってた。色んな魔法を使えるようになれば、できることは無限に広がるから、そっちの方が大事だって。僕も彼を信じて、基本を大事にするよ」
「その意気よ! 私からみたら十分ラケルだってすごいんだから! いつかリュアン様にも追いつけるよ」
「うん、頑張るよ!」
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