冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
ぽんっと背中を叩いてセシリーが気合を込めると、ラケルも元気な表情を見せてくれた。
工房は王都の南西の区画にあり、辿り着くとラケルはセシリーを伴って中へ入り、店員に声を掛ける。
「こんにちは、ジョン師匠は来られてますか?」
「おお、ラケル君じゃないか。君が来たら奥に通してくれって……デートかい?」
「ち、違いますよこの子は……。ええと、同僚っていうか――」
「か、彼とは最近友達になりまして、仲良くさせてもらってます」
ぶしつけな店員に物珍しげな眼で見られつつ、愛想笑いを浮かべてセシリーはラケルの後ろに続く。工房は全面が店舗スペース、奥が薬品を生産するための作業所になっているらしい。
いくつかあった部屋のさらに一番後ろの扉を開けると、そこは応接間になっており、ひとりの男性が座っていた。
「遅いではないかラケルよ……。おっ、そちらのお嬢さんはもしかして! ラケルお前、よかったじゃないか!」
彼はセシリーを目にすると、喜色満面でラケルの肩をバンバン叩く。慌ててラケルは男性の誤解を解くべく、大袈裟な身振りで否定する。
工房は王都の南西の区画にあり、辿り着くとラケルはセシリーを伴って中へ入り、店員に声を掛ける。
「こんにちは、ジョン師匠は来られてますか?」
「おお、ラケル君じゃないか。君が来たら奥に通してくれって……デートかい?」
「ち、違いますよこの子は……。ええと、同僚っていうか――」
「か、彼とは最近友達になりまして、仲良くさせてもらってます」
ぶしつけな店員に物珍しげな眼で見られつつ、愛想笑いを浮かべてセシリーはラケルの後ろに続く。工房は全面が店舗スペース、奥が薬品を生産するための作業所になっているらしい。
いくつかあった部屋のさらに一番後ろの扉を開けると、そこは応接間になっており、ひとりの男性が座っていた。
「遅いではないかラケルよ……。おっ、そちらのお嬢さんはもしかして! ラケルお前、よかったじゃないか!」
彼はセシリーを目にすると、喜色満面でラケルの肩をバンバン叩く。慌ててラケルは男性の誤解を解くべく、大袈裟な身振りで否定する。