冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
舞踏会を控えて
丁度大体の仕事が片付いた夕方前、セシリーは魔法騎士団本部の屋上から広い敷地を見下ろしていた。
(今日も多いなぁ。あっ……)
高い壁で囲われた敷地の東西南北四方には門が有り、そこには今日も多くの婦女子がお目当ての騎士たちを一目見んと詰めかけている。
骨付き肉を前にしたリルルのような目つきで胸に飛び込まんとする彼女たちを掻い潜り、今日も無事帰りついたリュアンの姿を見つけると、セシリーは階下に降り笑顔で出迎えた。
「リュアン様お帰りなさい! あの、キースさんがお手すきの時、第三訓練室の方へ集まってほしいって」
「ああ……わかった。すぐに行こう」
「お願いします……?」
その丁寧な口調に違和感を抱きながら、セシリーは気のない返事をする。
やはり、最近のリュアンはどこか弱々しく、人が変わったように柔らかく接してくるようになったというか、別人のように怒りや苛立ちと言った感情すら見せてくれなくなった。悪いことばかりではないのだが、セシリーにとっては何だか物足りない。
(今日も多いなぁ。あっ……)
高い壁で囲われた敷地の東西南北四方には門が有り、そこには今日も多くの婦女子がお目当ての騎士たちを一目見んと詰めかけている。
骨付き肉を前にしたリルルのような目つきで胸に飛び込まんとする彼女たちを掻い潜り、今日も無事帰りついたリュアンの姿を見つけると、セシリーは階下に降り笑顔で出迎えた。
「リュアン様お帰りなさい! あの、キースさんがお手すきの時、第三訓練室の方へ集まってほしいって」
「ああ……わかった。すぐに行こう」
「お願いします……?」
その丁寧な口調に違和感を抱きながら、セシリーは気のない返事をする。
やはり、最近のリュアンはどこか弱々しく、人が変わったように柔らかく接してくるようになったというか、別人のように怒りや苛立ちと言った感情すら見せてくれなくなった。悪いことばかりではないのだが、セシリーにとっては何だか物足りない。