冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
魔法騎士団と正騎士団は現在いがみ合う仲だが、そんなことを言っている場合ではない。ひとりの身柄に大袈裟とも取れる処置だと罵られようと……キースは全力を尽くすつもりだった。彼もまた、リュアンが過去を克服するためにセシリーを利用しようとした責任を感じていた。
「……先輩、僕に単独で動く許可をお願いします!」
すぐさま出ていこうとするキースを遮るように、セシリーと最も仲良くしていたラケルが必死に声を張った。
「……リルルが、役に立ってくれるかも知れない。僕、見たんです……最初に出会った時も以降も、あいつはセシリーの居場所を何度も正確に探し当てた。何か、ふたりには深いつながりがある気がして……。絞る手掛かりがないなら、任せてみる価値はあると思うんです」
「いいでしょう、やって見なさい。どの道あなたひとりが減ったところでそこまで探せる範囲に変わりはない。何かわかれば私に連絡を」
「はい! 行って来ます!」
考える間も惜しいのか、キースは被せ気味に許可すると、魔法陣が描かれた円形の金属板――通信用の魔導具を取り出し押し付けた。受け取ったラケルはそれを手にリュアンと同じく飛び降り……その時にはすでにキースは不在のリュアンに代わって団員たちに檄を飛ばしていた。
「……先輩、僕に単独で動く許可をお願いします!」
すぐさま出ていこうとするキースを遮るように、セシリーと最も仲良くしていたラケルが必死に声を張った。
「……リルルが、役に立ってくれるかも知れない。僕、見たんです……最初に出会った時も以降も、あいつはセシリーの居場所を何度も正確に探し当てた。何か、ふたりには深いつながりがある気がして……。絞る手掛かりがないなら、任せてみる価値はあると思うんです」
「いいでしょう、やって見なさい。どの道あなたひとりが減ったところでそこまで探せる範囲に変わりはない。何かわかれば私に連絡を」
「はい! 行って来ます!」
考える間も惜しいのか、キースは被せ気味に許可すると、魔法陣が描かれた円形の金属板――通信用の魔導具を取り出し押し付けた。受け取ったラケルはそれを手にリュアンと同じく飛び降り……その時にはすでにキースは不在のリュアンに代わって団員たちに檄を飛ばしていた。