冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「もうセシリーさんは、我々の部隊のれっきとした一員です。皆さん、かけがえのない仲間を連れ戻し、必ずまたあの笑顔が見られるように各自全力を尽くしてください! 頼みましたよ!」
「「「おう!!」」」
(皆、任せるわよ……)

 ロージーは自分も走り出したい気持ちをぐっとこらえて両手を握り締めると、口々に声を上げ出ていく頼もしい魔法騎士たちに向けて心から祈る。彼らがちゃんと、すっかり妹のようにこの場所に馴染んだセシリーを、無事連れ帰ってくれますように、と……。

 ――オォォォォ――ン……!

 外からは、鼓舞する様な狼の遠吠えがひとつ響き、出陣の合図として木霊した。
< 251 / 799 >

この作品をシェア

pagetop