冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
誘拐事件②
「なっ、なんだテメェ、その瞳はっ……!」
軽薄男が眩しそうに目を細めたが、セシリーには何の事だかわからない。
しかし、地下なのか薄暗かった周囲が今では照らされたように明るく感じ……そして男が振り上げたままのナイフにちらりと映った自分の顔の中心では、何かが光っている。
激しく瞬く銀色の、ふたつの瞳。
これは……リュアンたちが魔法を使った時と、同じ現象だ。
「もしかして、テメェも魔法を使いやがるのか……くそっ!」
軽薄男はじりじりと体を退げる。後ろに控えた集団の、今まで余裕のあった雰囲気も鳴りを潜め、彼らは腰を上げて明らかな警戒を見せ始めたが……セシリーは今、それどころではなかった。
(何……これ。気持ち悪い)
軽薄男が眩しそうに目を細めたが、セシリーには何の事だかわからない。
しかし、地下なのか薄暗かった周囲が今では照らされたように明るく感じ……そして男が振り上げたままのナイフにちらりと映った自分の顔の中心では、何かが光っている。
激しく瞬く銀色の、ふたつの瞳。
これは……リュアンたちが魔法を使った時と、同じ現象だ。
「もしかして、テメェも魔法を使いやがるのか……くそっ!」
軽薄男はじりじりと体を退げる。後ろに控えた集団の、今まで余裕のあった雰囲気も鳴りを潜め、彼らは腰を上げて明らかな警戒を見せ始めたが……セシリーは今、それどころではなかった。
(何……これ。気持ち悪い)