冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

和解とこれから

 誘拐事件から三日。王都のとある医院で現在、魔法騎士団長リュアンは療養生活を送っている。

 傷は大半が治癒魔法で回復はしたが、何か所か骨折していた部分があり、それが治癒しきるまであと数日は掛かる予定だった。

(暇だ。少し瞑想でもするか……考えたいこともあるし)

 彼はベッドの上にゆったりと座り込む。

 セシリーが戻っていないと聞いた時……リュアンは自分でも信じられないほど取り乱してしまった。騎士団の誰かに声を掛ける余裕もないまま敷地を飛び出し、挙句ならず者たちにいいようにされるなど、団長としてあるまじき失態だ。しかしそれでもリュアンは彼女が傷つけられたらと思うと抵抗できなかった。

 出会って一カ月もたたないのに……。最初はあんなにリュアンのことを嫌っていたのに、今ではまるで友人のように素直な笑顔を見せてくれるようになった彼女を言葉と態度で傷つけ、あの場から追い出したのは自分だ。

 運よくあの場では彼女に秘められた魔力が解放され、どうにか助かったようだが……リュアンは彼女になにもしてやれなかった。なんとかして償いたい気持ちでいっぱいだった。
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