冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
暗い笑いを浮かべるマイルズをイルマは満足そうに見上げた後、名残惜しそうにソファから立ち上がる。
「今日はお父様に呼ばれてるから帰らなきゃいけないの~。寂しいけど、バイバイ。浮気しないでね、お願いよ?」
「当たり前だよ、僕の心は永遠に君のものさ」
マイルズを愛しそうに見つめながら、はしゃいでいたイルマは自分の家に帰っていく。
イルマは意外にも身持ちが固く、父親の指示があるのかそう頻繁に会えない。少々不満には思うがそれも式を挙げるまでだ。今はそれよりもリュアン・ヴェルナーだと思い直すと、マイルズは再度彼を陥れる計画を練り始める。
「奴になんとしても泥水を啜らせる! しかしヴェルナー家は王侯とも繋がりがあるとか聞くし、おいそれとは手を出せないか……」
父の後を継ぐまで待つという選択もある。だがそんな自分らしくない考えをマイルズは振り切り、唇を舌で舐めた。
「そうだ。奴はずいぶん騎士であることに誇りを抱いているようだしなぁ。ならばまずはそこから追い落としてやる――」
「今日はお父様に呼ばれてるから帰らなきゃいけないの~。寂しいけど、バイバイ。浮気しないでね、お願いよ?」
「当たり前だよ、僕の心は永遠に君のものさ」
マイルズを愛しそうに見つめながら、はしゃいでいたイルマは自分の家に帰っていく。
イルマは意外にも身持ちが固く、父親の指示があるのかそう頻繁に会えない。少々不満には思うがそれも式を挙げるまでだ。今はそれよりもリュアン・ヴェルナーだと思い直すと、マイルズは再度彼を陥れる計画を練り始める。
「奴になんとしても泥水を啜らせる! しかしヴェルナー家は王侯とも繋がりがあるとか聞くし、おいそれとは手を出せないか……」
父の後を継ぐまで待つという選択もある。だがそんな自分らしくない考えをマイルズは振り切り、唇を舌で舐めた。
「そうだ。奴はずいぶん騎士であることに誇りを抱いているようだしなぁ。ならばまずはそこから追い落としてやる――」