冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
オーギュストはキースの肩を掴んで引っ張り上げ、彼を強引に扉の方へ突き飛ばす。
「ちょっとお父様、やりすぎよ! 止めて!」
「お前は部屋で大人しくしているんだ! 二度とこいつらとは関わるな――!」
激高したオーギュストをセシリーがしがみついて止めるそばで、キースは話を急ぎ過ぎたことを謝罪し、再度の来訪を約束すると退室していった――。
「聖女ねぇ……。どんな感じだったかしら」
セシリーは昔々に持っていた本の装丁を思い出す。表紙右手に金髪金目の太陽の聖女、左手には銀髪銀目の月の聖女が向かい合い、二本の時計塔の上で両手を握り祈る姿で描かれていたように思う。
――心も姿も美しく清らかな、神様に認められし女性。
「……全然違うんだけど」
「ちょっとお父様、やりすぎよ! 止めて!」
「お前は部屋で大人しくしているんだ! 二度とこいつらとは関わるな――!」
激高したオーギュストをセシリーがしがみついて止めるそばで、キースは話を急ぎ過ぎたことを謝罪し、再度の来訪を約束すると退室していった――。
「聖女ねぇ……。どんな感じだったかしら」
セシリーは昔々に持っていた本の装丁を思い出す。表紙右手に金髪金目の太陽の聖女、左手には銀髪銀目の月の聖女が向かい合い、二本の時計塔の上で両手を握り祈る姿で描かれていたように思う。
――心も姿も美しく清らかな、神様に認められし女性。
「……全然違うんだけど」