冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
きっと、この女性が本当に何を望んでいるのかを、周りにいる誰ひとりとしてわかってあげられないのだ――彼がそう思ったのは、きっと彼女の諦めたような表情に、少しだけ都にいた頃の自分と重なるものを感じ取ったからでしょう。
「……君が本当にそれを望むなら、俺が手を貸してあげようか」
やがて元騎士は立ち上がると彼女に手を差し出し……女性は思わずその手を握ってしまっていました。身なりは見ずぼらしくても、その立ち姿はあまりにも立派で一瞬で女性は元騎士に恋に落ちてしまったのです――。
そこで話を切り、「ね?」と母サラは、オーギュストの方に首を伸ばす。すると、彼は手綱を握るのと反対側の手で頬を掻き、「さあな……知らん」と呟いてそっぽを向く。サラは素っ気ない彼を見て嬉しそうに背中を揺すって笑うと、話を続けた。
――そして、その日の内から元騎士と女性の逃避行が始まります。
「……君が本当にそれを望むなら、俺が手を貸してあげようか」
やがて元騎士は立ち上がると彼女に手を差し出し……女性は思わずその手を握ってしまっていました。身なりは見ずぼらしくても、その立ち姿はあまりにも立派で一瞬で女性は元騎士に恋に落ちてしまったのです――。
そこで話を切り、「ね?」と母サラは、オーギュストの方に首を伸ばす。すると、彼は手綱を握るのと反対側の手で頬を掻き、「さあな……知らん」と呟いてそっぽを向く。サラは素っ気ない彼を見て嬉しそうに背中を揺すって笑うと、話を続けた。
――そして、その日の内から元騎士と女性の逃避行が始まります。