冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
魔法騎士団の愉快な仲間たち
王都に居を構えるファーリスデル王国・魔法騎士団の本部執務室にて。
そこでは今、常には無いくらいの大笑いが響いていた。
「あぁっはっはっはっはっ……!」
「笑うんじゃない!」
「ははは、無理無理! まさか栄えある魔法騎士団団長が、平手打ちで意表を突かれて女の子に逃げられたと? くっくっ……いや~人払いをしておいてよかったですねぇ、団長」
「キース、表に出ろ。這いつくばらせてそのうっとうしい長髪、丸く剃り上げてやる」
「それは勘弁。ですがそうですか。あなたともあろう者がね……おほん」
切れ長の目に溜めた涙をぬぐい、ようやく真面目な表情を取りつくろったのは、深い青色の長髪を後ろに流した背の高い騎士。
その名をキース・エイダンという、この団の副団長である。眼鏡を掛け直した彼は、まだ震える口元を覆ってわざとらしく咳払いをしてみせた。
「……ただの油断だ。魔法を使ってくる様子もなかったしな」
そこでは今、常には無いくらいの大笑いが響いていた。
「あぁっはっはっはっはっ……!」
「笑うんじゃない!」
「ははは、無理無理! まさか栄えある魔法騎士団団長が、平手打ちで意表を突かれて女の子に逃げられたと? くっくっ……いや~人払いをしておいてよかったですねぇ、団長」
「キース、表に出ろ。這いつくばらせてそのうっとうしい長髪、丸く剃り上げてやる」
「それは勘弁。ですがそうですか。あなたともあろう者がね……おほん」
切れ長の目に溜めた涙をぬぐい、ようやく真面目な表情を取りつくろったのは、深い青色の長髪を後ろに流した背の高い騎士。
その名をキース・エイダンという、この団の副団長である。眼鏡を掛け直した彼は、まだ震える口元を覆ってわざとらしく咳払いをしてみせた。
「……ただの油断だ。魔法を使ってくる様子もなかったしな」