冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
ラケルの声が次第に途切れ途切れになって聞こえなくなり、同時に薄桃の蝶は浮き上がると、ぽふっと煙に変わって消えてしまう。セシリーはすとんと椅子に座り込み、しばし腕を組んで考え込んだ。
(会いに行きたい……。でも、ラケルやリュアン様には悪いけど、無理かなぁ。門衛の人にお父様が強く言い含めてるはずだし)
「御嬢様? なにか騒いでらしたみたいですけれど、どうかなさいましたか~?」
「え、ううん、なんでもない! なんでもないの! ……えへへ」
扉を開けたエイラは、大袈裟に手を振るセシリーを見て、何か勘付いたように両手を腰に当て、顔を覗き込む。
「御嬢様~? エイラを甘く見ていただいては困りますよ。その顔は、隠し事をなさっている顔ですね~」
「ち、違うってば……」
「本当ですか~? では何故目を合わして下さらないのです~」
右往左往する目線にぴったり着いて顔を動かすエイラの圧力に耐え切れず……セシリーはつい、魔法騎士団のふたりが自分に会おうと近くまで来ていることを白状してしまった。
(会いに行きたい……。でも、ラケルやリュアン様には悪いけど、無理かなぁ。門衛の人にお父様が強く言い含めてるはずだし)
「御嬢様? なにか騒いでらしたみたいですけれど、どうかなさいましたか~?」
「え、ううん、なんでもない! なんでもないの! ……えへへ」
扉を開けたエイラは、大袈裟に手を振るセシリーを見て、何か勘付いたように両手を腰に当て、顔を覗き込む。
「御嬢様~? エイラを甘く見ていただいては困りますよ。その顔は、隠し事をなさっている顔ですね~」
「ち、違うってば……」
「本当ですか~? では何故目を合わして下さらないのです~」
右往左往する目線にぴったり着いて顔を動かすエイラの圧力に耐え切れず……セシリーはつい、魔法騎士団のふたりが自分に会おうと近くまで来ていることを白状してしまった。