冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
『おや、そうですか。まあ、あの状態は、おそらく今までにない強烈な感情から発された、いわばイレギュラーな事象だったと言えるでしょう。ですから、平静に心を保った今の状態であれば、魔力を呼び起こすことができても普通の魔法使いと変わらず、何ら問題はありません。それに、いざという時のために、もう一つ袋の中に魔力を強制的に封じ込める薬も入れてありますので、何か異常が起こればすぐにそちらを服用して下さい』
何から何まで準備のよいことで……セシリーはそちらも確認した後、水差しに水を汲み、手のひらの丸薬を見つめた。通常ならば、市販されていても絶対に手に取ることはない、絶妙に不安を煽る配色であった。
「こ、これを飲めばいいんですね?」
『ええ。さすれば、セシリーさんは体に満ちる魔力を感知することができるようになるはずです。最初は分かりにくいかもしれませんが、それは体に痺れのような感覚として伝わりますので、一日一錠、ゆっくりと休めるタイミングで飲み、体を楽にして感覚を掴んでいってください』
「わ……わかりました。それじゃ、行きます!」
セシリーは怖気づく前に、えいやっと丸薬を摘まみ上げると口の中に放りこみ、水と共に一気に流し込んだ。
『……さて、大丈夫ですか? 魔力が大きければ大きいほど刺激が強くなりますので、落ち着いて心を休めてください』
何から何まで準備のよいことで……セシリーはそちらも確認した後、水差しに水を汲み、手のひらの丸薬を見つめた。通常ならば、市販されていても絶対に手に取ることはない、絶妙に不安を煽る配色であった。
「こ、これを飲めばいいんですね?」
『ええ。さすれば、セシリーさんは体に満ちる魔力を感知することができるようになるはずです。最初は分かりにくいかもしれませんが、それは体に痺れのような感覚として伝わりますので、一日一錠、ゆっくりと休めるタイミングで飲み、体を楽にして感覚を掴んでいってください』
「わ……わかりました。それじゃ、行きます!」
セシリーは怖気づく前に、えいやっと丸薬を摘まみ上げると口の中に放りこみ、水と共に一気に流し込んだ。
『……さて、大丈夫ですか? 魔力が大きければ大きいほど刺激が強くなりますので、落ち着いて心を休めてください』