冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「あ、はい……。……ふう、特になんともないんですけど」

 警戒したが何の反応も見られず、やっぱり自分には魔法の才能はないのかなとがっかりして、椅子に座ろうとしたセシリー。

「――んぎゃわわわ――っ!」

 そんな彼女を、突如背筋に走った電流の如き痛みが襲う。

 ――ガタガタン!

 椅子を自分と一緒に引き倒しながら床に転がったセシリーに、キースから驚いた声がかかる。

『セシリーさんっ!? セシリーさん今の音は? どうされました!?』
「っう――っ!? だ、だい、じょう、ぶ……れすよぉ……、んぎょわっ! にゃんでも、なひんれす……し、しびびりぇた、らけで」
『っふ!? い、いや明らかに口調がおかしいですが……あ、あんまりお辛いようなら魔力を封じる薬を……』
「い、いえ、ら、らいじょうぶれす……うぅ」
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