冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
隣国への墓参り①
晴れ渡る空の下……セシリーがオーギュストと共に隣国へと出発して二時間ほどが経つころ。
「いい天気……」
開いた幌の隙間から差す温かい日光に目を細め、セシリーは眠たそうに呟く。
「ワゥゥ……」
返事するように欠伸をもらしたのは、隣に寝そべった意外な同行者だ。
「ありがとね、着いてきてくれて……」
「ウォン!」
それは白狼のリルルである。本来ならば簡素な馬車を一台借り、父と娘の二人旅となる予定だったのだが、一緒に見送りに来てくれたラケルが彼だけでも連れて行ってほしいと申しでたのだ。オーギュストも最初は渋ったものの、リルルが誘拐事件の折、セシリーの居場所を一番に見つけたことを伝えると、なにかの役に立つかもしれないかと思ったのか同行を許してくれた。
「いい天気……」
開いた幌の隙間から差す温かい日光に目を細め、セシリーは眠たそうに呟く。
「ワゥゥ……」
返事するように欠伸をもらしたのは、隣に寝そべった意外な同行者だ。
「ありがとね、着いてきてくれて……」
「ウォン!」
それは白狼のリルルである。本来ならば簡素な馬車を一台借り、父と娘の二人旅となる予定だったのだが、一緒に見送りに来てくれたラケルが彼だけでも連れて行ってほしいと申しでたのだ。オーギュストも最初は渋ったものの、リルルが誘拐事件の折、セシリーの居場所を一番に見つけたことを伝えると、なにかの役に立つかもしれないかと思ったのか同行を許してくれた。