冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「ん? そんなものあったか……?」
思ってもみない話を振られ、リュアンは目を見開く。しかし急に変えられた話題の方は、リュアンにとってより好ましくないものだった。
「二月後に迫っている節刻みの舞踏会にお連れする女性、決まりましたか?」
「――ぐふっ」
茶を吹き出す寸前で口を押さえると、リュアンは顔を背け、もごもご口ごもる。
「こ、今回も所用のため欠席、ということでいいだろ――」
「駄目ですよ! 舞踏会には多くの国賓もいらっしゃいます。魔法騎士団に出資していただいているお歴々も参じるあの場を毎度欠席するなど、団長としての資質が大きく問われる事態にも繋がりかねない。下の者にも示しがつきません!」
大袈裟な身振り手振りで話すキースに、リュアンは返す言葉もなかった。なぜなら彼の名代としてこの節刻みの舞踏会――王都の中心にある時計塔で年に二度行われる、王家主催の公的行事――に参加し、貴族や政府高官などとのパイプ役を担ってくれているのは、他ならぬキースであるのだから。
思ってもみない話を振られ、リュアンは目を見開く。しかし急に変えられた話題の方は、リュアンにとってより好ましくないものだった。
「二月後に迫っている節刻みの舞踏会にお連れする女性、決まりましたか?」
「――ぐふっ」
茶を吹き出す寸前で口を押さえると、リュアンは顔を背け、もごもご口ごもる。
「こ、今回も所用のため欠席、ということでいいだろ――」
「駄目ですよ! 舞踏会には多くの国賓もいらっしゃいます。魔法騎士団に出資していただいているお歴々も参じるあの場を毎度欠席するなど、団長としての資質が大きく問われる事態にも繋がりかねない。下の者にも示しがつきません!」
大袈裟な身振り手振りで話すキースに、リュアンは返す言葉もなかった。なぜなら彼の名代としてこの節刻みの舞踏会――王都の中心にある時計塔で年に二度行われる、王家主催の公的行事――に参加し、貴族や政府高官などとのパイプ役を担ってくれているのは、他ならぬキースであるのだから。