冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
セシリーは戸惑いながらも必死に頭を働かせる。
「ちょ、ちょっと待って下さい! な、なら……ファーリスデルの魔法騎士団にこの事を知らせて、協力し合って下さい! 彼らは、リュアン・ヴェルナー団長はその事態を止めようとずっと私を探して……」
「ヴェルナー家の……、あいつが魔法騎士団団長だと……?」
途端にジェラルドの顔が険しくなり、彼はセシリーの言葉を強く跳ねのけた。
「必要ない。あのような出来損ないの手を借りずとも……オレが次の王として、必ず役目は果たす。月の聖女の守り役として……お前の隣に立つのは、このオレだ」
「……痛っ」
今までの余裕をかなぐり捨て、ジェラルドはセシリーの手首をつかみ強引に引き寄せようとする。だがそれを、オーギュストが間に入り諫めた。
「ジェラルド様……そこまでにしていただけませんか。娘は、誰のものではない」
「ふん。どう足搔いたところで、こいつもオレも所詮逃れることは叶うまいよ。血筋が持つ……生まれ持った宿命からはな」
「ちょ、ちょっと待って下さい! な、なら……ファーリスデルの魔法騎士団にこの事を知らせて、協力し合って下さい! 彼らは、リュアン・ヴェルナー団長はその事態を止めようとずっと私を探して……」
「ヴェルナー家の……、あいつが魔法騎士団団長だと……?」
途端にジェラルドの顔が険しくなり、彼はセシリーの言葉を強く跳ねのけた。
「必要ない。あのような出来損ないの手を借りずとも……オレが次の王として、必ず役目は果たす。月の聖女の守り役として……お前の隣に立つのは、このオレだ」
「……痛っ」
今までの余裕をかなぐり捨て、ジェラルドはセシリーの手首をつかみ強引に引き寄せようとする。だがそれを、オーギュストが間に入り諫めた。
「ジェラルド様……そこまでにしていただけませんか。娘は、誰のものではない」
「ふん。どう足搔いたところで、こいつもオレも所詮逃れることは叶うまいよ。血筋が持つ……生まれ持った宿命からはな」