冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
自然と体が従い、セシリーは吸い寄せられるようにその顔を見つめた。五十に差し掛かるかどうかといった精悍な壮年の男性は、ジェラルドとよく似た容姿をしている。
ガレイタム王国の現国王――オルコット・セルキス・ガレイタム。
彼はセシリーに満足そうな笑顔で一瞥をくれると、周囲をぐるりと見まわした。
「此度皆に集まってもらったのは、我が息子である王太子ジェラルドが、月の聖女を見出したという知らせを受けてのことであるが……ジェラルドよ、相違無いな?」
それを受け、ジェラルドも大きく肯定する。
「ハッ……! 後ろに控えしこの者こそ、あのリーシャ・レフィーニの血を受け継ぎし月の聖女候補、セシリー・クライスベルと申す娘です」
「おお……」「あの才女の娘か!」
母の元の名に反応した貴族たちが驚き、周りの目が一斉にこちらへと向く。そこに大きな期待が込められているのは見なくても分かり、身体を押さえ込むような大きな重圧がセシリーを襲った。きっと父や母も、かつてこのような場所に身を置き、苦悩していたのだ――そんな微かな感慨が頭によぎる。
ガレイタム王国の現国王――オルコット・セルキス・ガレイタム。
彼はセシリーに満足そうな笑顔で一瞥をくれると、周囲をぐるりと見まわした。
「此度皆に集まってもらったのは、我が息子である王太子ジェラルドが、月の聖女を見出したという知らせを受けてのことであるが……ジェラルドよ、相違無いな?」
それを受け、ジェラルドも大きく肯定する。
「ハッ……! 後ろに控えしこの者こそ、あのリーシャ・レフィーニの血を受け継ぎし月の聖女候補、セシリー・クライスベルと申す娘です」
「おお……」「あの才女の娘か!」
母の元の名に反応した貴族たちが驚き、周りの目が一斉にこちらへと向く。そこに大きな期待が込められているのは見なくても分かり、身体を押さえ込むような大きな重圧がセシリーを襲った。きっと父や母も、かつてこのような場所に身を置き、苦悩していたのだ――そんな微かな感慨が頭によぎる。