冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
離宮とふたりの令嬢
『――うむ! これをもって認めよう、セシリー・クライスベル、そなたが月の聖女の血脈を受け継ぎし者であると!』
『――ジェラルドと婚姻を結び、共にガレイタムの繁栄に尽くしていってもらいたい!」
そんな声が何度も繰り返し頭の中で流れ、周囲の人々の笑いが、セシリーを追い詰めるようにわんわんと頭を揺らす。
「……聖女……王妃……知らない。来ないで……うう……うぁぁぁぁっ!」
――そんな悪夢。
目覚めたセシリーは飛び起きると、じっとりと濡れた額を拭って、ぼんやりと視線を漂わせた。
「はぁ……はぁ……ゆ、夢、かぁ」
とんでもない恐ろしい夢だった。
綺麗な服を着せられ、巨大きなお城に連れて行かれた後、なにもかもわからないまま聖女だということを証明しろとか言われ……やったらやったで、今度は王太子と結婚しろとか言われるのだ。夢見がちな少女が読むお伽噺じゃあるまいし、そんな唐突も無い出来事が現実に存在してたまるものか。
『――ジェラルドと婚姻を結び、共にガレイタムの繁栄に尽くしていってもらいたい!」
そんな声が何度も繰り返し頭の中で流れ、周囲の人々の笑いが、セシリーを追い詰めるようにわんわんと頭を揺らす。
「……聖女……王妃……知らない。来ないで……うう……うぁぁぁぁっ!」
――そんな悪夢。
目覚めたセシリーは飛び起きると、じっとりと濡れた額を拭って、ぼんやりと視線を漂わせた。
「はぁ……はぁ……ゆ、夢、かぁ」
とんでもない恐ろしい夢だった。
綺麗な服を着せられ、巨大きなお城に連れて行かれた後、なにもかもわからないまま聖女だということを証明しろとか言われ……やったらやったで、今度は王太子と結婚しろとか言われるのだ。夢見がちな少女が読むお伽噺じゃあるまいし、そんな唐突も無い出来事が現実に存在してたまるものか。