冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「すまん、ついこんな色だから、昔宮殿で飼われていた犬を思い出してな。はっはっ」
本当かどうか分からないことを言って笑うジェラルドを見上げ、手櫛で髪を直しているとレミュールとマーシャが近づいてくる。
「お久しぶりですわ、ジェラルド様」
「御機嫌よう、ジェラルド様。セシリー様に会いに来られたのですよね?」
「その口振りでは、オレが普段お前たちのことを構ってやっていないようであろうが」
「そう思われるのでしたら、もっと小まめにおいでになってくださったらよろしいのです」
「わかったわかった、努力する」
参ったように笑うジェラルドと、嬉しそうなふたりを見て、セシリーは少しほっとした。彼女たちも言っていた通り、決して彼らの中が険悪だったりすることはなさそうだ。
しかしふたりは目を見合わせると、セシリーをジェラルドの前へと追いやる。
「でも、せっかくですから今日はセシリーの御相手をなさってあげて下さいまし」
本当かどうか分からないことを言って笑うジェラルドを見上げ、手櫛で髪を直しているとレミュールとマーシャが近づいてくる。
「お久しぶりですわ、ジェラルド様」
「御機嫌よう、ジェラルド様。セシリー様に会いに来られたのですよね?」
「その口振りでは、オレが普段お前たちのことを構ってやっていないようであろうが」
「そう思われるのでしたら、もっと小まめにおいでになってくださったらよろしいのです」
「わかったわかった、努力する」
参ったように笑うジェラルドと、嬉しそうなふたりを見て、セシリーは少しほっとした。彼女たちも言っていた通り、決して彼らの中が険悪だったりすることはなさそうだ。
しかしふたりは目を見合わせると、セシリーをジェラルドの前へと追いやる。
「でも、せっかくですから今日はセシリーの御相手をなさってあげて下さいまし」