冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「そうそう。セシリーさんもこちらに来てばかりで不安でしょうから……ジェラルド様、ゆっくりとお話を聞いてあげてください。さ、どうぞどうぞ」

 ふたりはセシリーとジェラルドの背中を押してサロンへと追い立ててゆくと、後でお茶を持って行きますからごゆっくりと笑顔で扉を閉めそのままどこかへ行ってしまった。

 少しずつその顔に慣れてはきたものの、依然緊張は拭い切れないセシリー。
 王太子はそんな彼女に差し向かいからじっと見つめてくる。

「そう警戒するな。少なくとも正式に婚姻を結ぶまで、こちらから何かをするつもりは無い」
「まあ、わかりますけど……あんなにお綺麗な方々にも手を出さないなんて……あ、もしかして」
「名誉のために言っておくが、男色家ではないぞ」
「……すみませんです」

 とっても失礼なことを思ってしまったのがばれて、セシリーは素直に頭を下げた。だが、レミュールたちの話によれば、もう彼は二十七にもなるはずだ。それだけの長い期間お手付きになる女性がいないとすると、そう勘繰られることもままあるだろう。
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