冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

親切な新米騎士

 婚約破棄の翌朝、セシリーは馬車で送られ王都にあるファーリスデル正騎士団本部の建物を訪れていた。そして、受付で少し嫌味な感じにこんなことを言われた。

「あなた、場所をお間違えですよ」
「へっ? ここじゃない!? だって、騎士団の本部でしょ?」
「ええ。ですがここは、『正』騎士団の本部ですから。『魔法』騎士団は敷地内のまるで反対側にあります」
「そ、そうなんですか……。すみませんでした」

 どうやら盛大に勘違いをしていたらしく、詳細な場所を説明してもらうとセシリーは、白い建物の入り口から出て辺りを見回す。

(はぁ、間違っちゃった。普段来ないんだから仕方ないわよ。でもすっごい広さ……こんなとこ、私本当に場違いだわ)
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