冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
マーシャの秘密
(集中……セシリー集中よ……!)
ガレイタム王国に来て三日目の夜。セシリーはひどく緊張した面持ちでラウンジのテーブルに腰掛けて、小さな棒を手に一心に念じていた。対面にはマーシャの姿があるが、そちらは薄っすら微笑みをたたえている。
(緑の兵を二体、五番の場所へ……!)
セシリーは手を震わせながら、手元にある小さな箱にその棒の先を触れさせた。中に入っていた緑色の小さな兵隊の人形が二体先端に吸い付き、小刻みに揺れながら吊り上げられる。
彼女はしめしめという顔で、それらをマーシャとの間にあるテーブルに置かれた、ひとつの正方形の板の上に運んだ。そこには様々な絵と共に、一から十二の番号が描かれて、既にいくつかのところで人形が配置されている。
(よしよし……いける!)
ゆっくりと人形を指定された位置に近づけてゆく。棒を五の数字の真上の位置に付け、後はそのまま下ろしてしまえば、この『作戦』は成功する……。セシリーがそれを半ば確信していた時だった。
ガレイタム王国に来て三日目の夜。セシリーはひどく緊張した面持ちでラウンジのテーブルに腰掛けて、小さな棒を手に一心に念じていた。対面にはマーシャの姿があるが、そちらは薄っすら微笑みをたたえている。
(緑の兵を二体、五番の場所へ……!)
セシリーは手を震わせながら、手元にある小さな箱にその棒の先を触れさせた。中に入っていた緑色の小さな兵隊の人形が二体先端に吸い付き、小刻みに揺れながら吊り上げられる。
彼女はしめしめという顔で、それらをマーシャとの間にあるテーブルに置かれた、ひとつの正方形の板の上に運んだ。そこには様々な絵と共に、一から十二の番号が描かれて、既にいくつかのところで人形が配置されている。
(よしよし……いける!)
ゆっくりと人形を指定された位置に近づけてゆく。棒を五の数字の真上の位置に付け、後はそのまま下ろしてしまえば、この『作戦』は成功する……。セシリーがそれを半ば確信していた時だった。