冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
レミュールは淡く微笑み返しただけで、静かに頷く。
「そう……ジェラルド様はそう伝えたのね。その通り、彼女はもうこの世にはいない」
「残念です。話だけでもお伺いしたかったんですが……」
どうしてそうなってしまったのか――つい物問いたげな視線を送りそうになったセシリーは自分を諫め、視線を床に伏せた。だが、それを察したようにレミュールは苦笑する。
「気にしなくてもいいわ。私があなたを呼んだのも、そういった経緯を説明するためだもの。ラナは……私たちととても仲良しだった。いつも三人一緒に居たわ。知り合ったのは、王国立の魔術校に入ったのがきっかけ。同じ月の聖女の血筋を引くということで、私は一方的に彼女を好敵手と見なしたりもしていたけれど……いつしか共に学び舎で長い時を過ごす内、距離も近くなり一緒に卒業して離宮へと入ったの。もちろんマーシャもね」
「えっ……でも、マーシャ様は、年が違うって言って……ませんでしたっけ?」
記憶違いでなければ、レミュールはマーシャの三つ上だと言ったはずだ。冗談で言った様子もなく、ふたりの間ではそれが当たり前のように真実として受け取られていた。
「そう……ジェラルド様はそう伝えたのね。その通り、彼女はもうこの世にはいない」
「残念です。話だけでもお伺いしたかったんですが……」
どうしてそうなってしまったのか――つい物問いたげな視線を送りそうになったセシリーは自分を諫め、視線を床に伏せた。だが、それを察したようにレミュールは苦笑する。
「気にしなくてもいいわ。私があなたを呼んだのも、そういった経緯を説明するためだもの。ラナは……私たちととても仲良しだった。いつも三人一緒に居たわ。知り合ったのは、王国立の魔術校に入ったのがきっかけ。同じ月の聖女の血筋を引くということで、私は一方的に彼女を好敵手と見なしたりもしていたけれど……いつしか共に学び舎で長い時を過ごす内、距離も近くなり一緒に卒業して離宮へと入ったの。もちろんマーシャもね」
「えっ……でも、マーシャ様は、年が違うって言って……ませんでしたっけ?」
記憶違いでなければ、レミュールはマーシャの三つ上だと言ったはずだ。冗談で言った様子もなく、ふたりの間ではそれが当たり前のように真実として受け取られていた。