冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
だから……あの日、王国立魔術校の創立祭に招待されたラナが、あんな目に遭うとは予想もしていなかった。
数日前から少し体調がおかしいと言って、課業を休みがちだったマーシャの様子をレミュールはこのところずっと見ていた。マーシャは数日前からよく熱を出し、寝ている最中もうわごとを呟たりしていて、目を離す気にはならなかった。
医者にも見てもらったが原因は分からず、精神的な過労ではないかということでゆっくり休み、様子を見るように言われたものの……マーシャは、時折汗びっしょりで飛び起きて、レミュールにしがみ付いて泣くのだ。
何があったのか彼女に尋ねてみても、「夢の中で赤い蛇が、私を丸呑みにしようとするの……それが怖くて」と、涙ながらに訴えるばかり。
創立祭の日までそんなことが続き、ラナも心配して頻繁に見舞には来ていたが……彼女が年下の大切な友人に招待されているという話を前もって聞いていたレミュールは、半ば強引に離宮から送り出した。もしジェラルドと結ばれ王妃ともなるなら、これ以降そう自由な時間は取れまい……だから少しでも思い出作りに協力してあげたかったのだ。
護衛と共に出発したラナを見送った後、今日もマーシャの面倒を見るため、レミュールが彼女の部屋に戻った時だった。
数日前から少し体調がおかしいと言って、課業を休みがちだったマーシャの様子をレミュールはこのところずっと見ていた。マーシャは数日前からよく熱を出し、寝ている最中もうわごとを呟たりしていて、目を離す気にはならなかった。
医者にも見てもらったが原因は分からず、精神的な過労ではないかということでゆっくり休み、様子を見るように言われたものの……マーシャは、時折汗びっしょりで飛び起きて、レミュールにしがみ付いて泣くのだ。
何があったのか彼女に尋ねてみても、「夢の中で赤い蛇が、私を丸呑みにしようとするの……それが怖くて」と、涙ながらに訴えるばかり。
創立祭の日までそんなことが続き、ラナも心配して頻繁に見舞には来ていたが……彼女が年下の大切な友人に招待されているという話を前もって聞いていたレミュールは、半ば強引に離宮から送り出した。もしジェラルドと結ばれ王妃ともなるなら、これ以降そう自由な時間は取れまい……だから少しでも思い出作りに協力してあげたかったのだ。
護衛と共に出発したラナを見送った後、今日もマーシャの面倒を見るため、レミュールが彼女の部屋に戻った時だった。