冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
『一体何があったの!? ねえ、誰かマーシャを見てない!? あの子、様子がおかしくて……』
『…………え~と』
口ごもる少女を見て強く胸が騒いだ。噂好きで、いつも真偽の定かでもない話を臆せず吹聴する彼女のような人が口を噤むほどの、なにか恐ろしい事態が起こったのを知り、レミュールは強い口調で話を迫った。
『話しなさい!!』
『わ、わかったから、私に怒んないでよ! 魔術校の創立祭が今日開かれてるのは知ってるでしょ? そこで、ラナが――』
それを聞いて、レミュールは離宮を飛び出した。
(そんなはずない……そんなはずない! 信じないから!)
彼女は聞き間違えようもなくこう言ったのだ――「マーシャが、ラナを刺した」と。
マーシャは確かにジェラルドに恋心を抱いていた。だが、同時にラナを得難い友人だと思い、二人の仲を応援していたはずだ。あの控えめで優しい彼女が、ラナを傷つけるなんて……。
『…………え~と』
口ごもる少女を見て強く胸が騒いだ。噂好きで、いつも真偽の定かでもない話を臆せず吹聴する彼女のような人が口を噤むほどの、なにか恐ろしい事態が起こったのを知り、レミュールは強い口調で話を迫った。
『話しなさい!!』
『わ、わかったから、私に怒んないでよ! 魔術校の創立祭が今日開かれてるのは知ってるでしょ? そこで、ラナが――』
それを聞いて、レミュールは離宮を飛び出した。
(そんなはずない……そんなはずない! 信じないから!)
彼女は聞き間違えようもなくこう言ったのだ――「マーシャが、ラナを刺した」と。
マーシャは確かにジェラルドに恋心を抱いていた。だが、同時にラナを得難い友人だと思い、二人の仲を応援していたはずだ。あの控えめで優しい彼女が、ラナを傷つけるなんて……。