冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「――いいじゃありませんかレオ様、一肌脱いで差し上げても!」
「待ちなさいってばフレア!」
腕を引っ張るロージーごと扉を破るように開けたのは、長い金髪を幾筋も縦巻にして垂らした豪奢な髪型の美女である。
「おーっほっほっほ! お話を聞いてわたくしぜひともお会いしてみたくなりましたわ! ロージーから聞いたらなかなか性根の据わった娘らしいですし……気が合いそうだと思いましたの!」
(彼女もお連れになっていたんですね……)
(ああ……済まないね。込み入った話になるから下で待っていて欲しいと伝えたんだが……)
男ふたりで頭を低くしひそひそと囁き合う、その話題の対象になっている彼女こそが、フレア・マールシルト伯爵令嬢……今代の太陽の聖女であり、王太子レオリンの番と認められた人物である。並みいる競争相手から努力と才能で聖女の座を奪い取ったと言われる、とても暑苦しい……いや、タフネスでパワフルな女性なのであった。
「すみません王太子様! すぐにこのっ、我儘娘を、連れて下がりますのでっ!」
「下がりませんわっ! そうまでして戻りたがるなんてセシリーとやら、きっとこの騎士団内に意中の殿方がいらっしゃるのでしょう? 国家の思惑に引き裂かれようとするふたりなんて、見捨てて放置するわけには参りませんわーっ!」
「待ちなさいってばフレア!」
腕を引っ張るロージーごと扉を破るように開けたのは、長い金髪を幾筋も縦巻にして垂らした豪奢な髪型の美女である。
「おーっほっほっほ! お話を聞いてわたくしぜひともお会いしてみたくなりましたわ! ロージーから聞いたらなかなか性根の据わった娘らしいですし……気が合いそうだと思いましたの!」
(彼女もお連れになっていたんですね……)
(ああ……済まないね。込み入った話になるから下で待っていて欲しいと伝えたんだが……)
男ふたりで頭を低くしひそひそと囁き合う、その話題の対象になっている彼女こそが、フレア・マールシルト伯爵令嬢……今代の太陽の聖女であり、王太子レオリンの番と認められた人物である。並みいる競争相手から努力と才能で聖女の座を奪い取ったと言われる、とても暑苦しい……いや、タフネスでパワフルな女性なのであった。
「すみません王太子様! すぐにこのっ、我儘娘を、連れて下がりますのでっ!」
「下がりませんわっ! そうまでして戻りたがるなんてセシリーとやら、きっとこの騎士団内に意中の殿方がいらっしゃるのでしょう? 国家の思惑に引き裂かれようとするふたりなんて、見捨てて放置するわけには参りませんわーっ!」