冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「なら団長は、ガレイタムから月の聖女を探して、ファーリスデルへ来ていたっていうことですか? それを隠して……でも」
「その辺りは私も興味がある。なぜなのです? レフィーニ家が何らかの理由で滅びたとは聞きましたが、月の聖女の血を引く家柄は他にもいくつかあったはず。それがなぜ、セシリーを連れ戻さなければならないようなことになったのです?」
「……全てを知っているわけではないのです。俺が分かるのは今から八年ほど前にあったひとつの出来事まで……今からあなたたちにそれをお話します。ラケルも聞いてくれ……俺は、今からは八年前、この国を追放されたんだ……ある事件の責任を取るために」
ラケルはその時のリュアンの目を見て、彼がかつて、セシリーと話していた自分の目の前で倒れた時のことを思い出す。いや……それ以外でも見たことがある。
この目は……騎士として働く中、凄惨な事件が起こった場で幾度も目にしたそれは……希望を奪われ、何もかもを拒もうとする瞳だ。
彼はきっと、何よりも大事にしていたものを、この地で失った――。
「その辺りは私も興味がある。なぜなのです? レフィーニ家が何らかの理由で滅びたとは聞きましたが、月の聖女の血を引く家柄は他にもいくつかあったはず。それがなぜ、セシリーを連れ戻さなければならないようなことになったのです?」
「……全てを知っているわけではないのです。俺が分かるのは今から八年ほど前にあったひとつの出来事まで……今からあなたたちにそれをお話します。ラケルも聞いてくれ……俺は、今からは八年前、この国を追放されたんだ……ある事件の責任を取るために」
ラケルはその時のリュアンの目を見て、彼がかつて、セシリーと話していた自分の目の前で倒れた時のことを思い出す。いや……それ以外でも見たことがある。
この目は……騎士として働く中、凄惨な事件が起こった場で幾度も目にしたそれは……希望を奪われ、何もかもを拒もうとする瞳だ。
彼はきっと、何よりも大事にしていたものを、この地で失った――。