冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
ラナはそんな俺に、もう少しだけ顔を近づけるように言う。
そしてそっと、俺の涙に濡れた頬に彼女の唇が触れた。
『ラナ……?』
『あなたの、おかげ。今まで毎日、信じられないくらい楽しかったんだ……。夢は叶わなくても、一生分くらいの幸せがぎゅっと詰まった、素敵な人生だったから……私は、それでいいんだ」
意識はもうろうとして、体を動かすことすら辛いだろうに……。しかし彼女はその柔らかい手で俺の背中をさすってくれた。
『でもね、レイ。あなたはもっと周りに手を伸ばして……。あなたには、きっと大勢の人を助けられる力があるから、もったいないよ? ……そうすればいつかきっと、もっと幸せになれる、目に見えないものがあなたと誰かを繋げ、支えてくれる』
『いらないよ! そういうのはラナの役目でしょ! だから生きるんだよ! 生きてよッ!!』
『ごめんね……。……あの子ね、マーシャっていう、大切な、友達で。多分……自分の意志、じゃない。操られてる、気がする。助けて、あげて欲しい。後……ゼル様に、選んでくれたドレス……着られなくて、ごめんなさいって、伝えて』
『こんな時まで他の心配しなくていいんだよ! もう喋るな!』
そしてそっと、俺の涙に濡れた頬に彼女の唇が触れた。
『ラナ……?』
『あなたの、おかげ。今まで毎日、信じられないくらい楽しかったんだ……。夢は叶わなくても、一生分くらいの幸せがぎゅっと詰まった、素敵な人生だったから……私は、それでいいんだ」
意識はもうろうとして、体を動かすことすら辛いだろうに……。しかし彼女はその柔らかい手で俺の背中をさすってくれた。
『でもね、レイ。あなたはもっと周りに手を伸ばして……。あなたには、きっと大勢の人を助けられる力があるから、もったいないよ? ……そうすればいつかきっと、もっと幸せになれる、目に見えないものがあなたと誰かを繋げ、支えてくれる』
『いらないよ! そういうのはラナの役目でしょ! だから生きるんだよ! 生きてよッ!!』
『ごめんね……。……あの子ね、マーシャっていう、大切な、友達で。多分……自分の意志、じゃない。操られてる、気がする。助けて、あげて欲しい。後……ゼル様に、選んでくれたドレス……着られなくて、ごめんなさいって、伝えて』
『こんな時まで他の心配しなくていいんだよ! もう喋るな!』