冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「何も怖がることないのよ。あなたならちゃんと立派にお務めを果たせるわ。当日はわたくしも手伝って、どこに出ても恥ずかしくないように着飾らせて送り出してあげるから、安心なさいな」
そうして微笑む彼女の方が、やっぱりジェラルドの隣にはよっぽどふさわしいと思えるのだが……セシリーが夜を徹して頼み込んだとしても、レミュールも、そしてジェラルドも絶対に首を縦には振るまい。
マーシャもこの事について、本当に嬉しそうに祝ってくれた。彼女がジェラルドを好いているのは明らかだが、全てを忘れていても、自分の存在がジェラルドを縛っていることをどこかで強く感じてしまっている。
本来ならば、レミュールとマーシャにとってはセシリーの存在は救いであると同時に、最も愛する人を奪おうという恋敵でもあるはずなのだ。けれど彼女たちはセシリーに対して嫉妬や恨みつらみなどを一言も漏らさない。それが余計に彼女たちの、ジェラルドに幸せになって欲しいという深い愛情を思わせる。
隣に並んだ、レミュールは穏やかな顔で言った。
「ありがとうセシリー。明後日やっと……私たちのずっと望んでいたことがひとつ叶う。願わくば、ついでにあなたとジェラルド様が結ばれてくれれば言うことはないんだけれど?」
そうして微笑む彼女の方が、やっぱりジェラルドの隣にはよっぽどふさわしいと思えるのだが……セシリーが夜を徹して頼み込んだとしても、レミュールも、そしてジェラルドも絶対に首を縦には振るまい。
マーシャもこの事について、本当に嬉しそうに祝ってくれた。彼女がジェラルドを好いているのは明らかだが、全てを忘れていても、自分の存在がジェラルドを縛っていることをどこかで強く感じてしまっている。
本来ならば、レミュールとマーシャにとってはセシリーの存在は救いであると同時に、最も愛する人を奪おうという恋敵でもあるはずなのだ。けれど彼女たちはセシリーに対して嫉妬や恨みつらみなどを一言も漏らさない。それが余計に彼女たちの、ジェラルドに幸せになって欲しいという深い愛情を思わせる。
隣に並んだ、レミュールは穏やかな顔で言った。
「ありがとうセシリー。明後日やっと……私たちのずっと望んでいたことがひとつ叶う。願わくば、ついでにあなたとジェラルド様が結ばれてくれれば言うことはないんだけれど?」