冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「すみません。遅くなってしまいまして……」
「いや、時間までにはまだ早いくらいだ。少し今後の話でもするか」
ジェラルドは彼女に席を指し示し、自分も隣に座る。
「すまないが、お前が月の聖女を名乗るに当たって元がファーリスデルの出では通りが悪い。正式な手続きはまだだが、以後お前の生家が使っていたレフィーニ家の名を唯一の後継として名乗ってもらう。オーギュストについても婿入りしたという体になるであろう」
「……それは、私がファーリスデル人でなくなるという、そういうことですか?」
「ああ……。オーギュストの方は拒むかもしれんが、そうなれば国へと送り返すだけだ」
「そうですね……父は向こうでたくさんの従業員を抱えてますから。その方がいいのかもしれません」
「あいつなら、お前の近くにいる方を取るだろうがな。任せるにふさわしいと判断できる人間が目の前に現れるまで。どうやらオレではその眼鏡に叶わぬらしい」
だが、自嘲気味に笑った後ジェラルドはセシリーに向き直り、その手に自分の手のひらを重ねた。
「いや、時間までにはまだ早いくらいだ。少し今後の話でもするか」
ジェラルドは彼女に席を指し示し、自分も隣に座る。
「すまないが、お前が月の聖女を名乗るに当たって元がファーリスデルの出では通りが悪い。正式な手続きはまだだが、以後お前の生家が使っていたレフィーニ家の名を唯一の後継として名乗ってもらう。オーギュストについても婿入りしたという体になるであろう」
「……それは、私がファーリスデル人でなくなるという、そういうことですか?」
「ああ……。オーギュストの方は拒むかもしれんが、そうなれば国へと送り返すだけだ」
「そうですね……父は向こうでたくさんの従業員を抱えてますから。その方がいいのかもしれません」
「あいつなら、お前の近くにいる方を取るだろうがな。任せるにふさわしいと判断できる人間が目の前に現れるまで。どうやらオレではその眼鏡に叶わぬらしい」
だが、自嘲気味に笑った後ジェラルドはセシリーに向き直り、その手に自分の手のひらを重ねた。