冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「オーギュストが認めずとも、オレはゆくゆくはお前を王妃として迎えるつもりだ。少なくとも大災厄を再び封じた暁には、国の安寧の為に大きくそれと、聖女との婚姻を国内外へ打ち出さねばならぬ……。いくらお前が抵抗しようと、これは変えられぬ事実なのだ。しかし案ずるな……決してお前の意思をないがしろにして寝屋を共にさせようなどとはすまいよ」
「……レミュール様たちのことは……」
ジェラルドはふっと視線を俯かせ、哀しい顔で告げた。
「話を聞いたか……あいつらをずっとここに縛り付けていたのはオレだ。責任など取れぬことが分かっていたのにもかかわらず、な。望むなら子でもなんでも与えてやりたいが……ふたりはここを出ていくことを選んだ。ならば、そろそろ自由にしてやらなければ」
「そ……」
それでいいのか……口から漏れ出そうになった叫びを、セシリーはぎゅっと手を握って噛み殺す。その気持ちは震える手からきっとジェラルドに伝わってしまっただろう。
彼は大きな手をセシリーの頭に乗せた。
「……レミュール様たちのことは……」
ジェラルドはふっと視線を俯かせ、哀しい顔で告げた。
「話を聞いたか……あいつらをずっとここに縛り付けていたのはオレだ。責任など取れぬことが分かっていたのにもかかわらず、な。望むなら子でもなんでも与えてやりたいが……ふたりはここを出ていくことを選んだ。ならば、そろそろ自由にしてやらなければ」
「そ……」
それでいいのか……口から漏れ出そうになった叫びを、セシリーはぎゅっと手を握って噛み殺す。その気持ちは震える手からきっとジェラルドに伝わってしまっただろう。
彼は大きな手をセシリーの頭に乗せた。