冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
決闘と最後の別れ①
新たに見つかった月の聖女に対し、王太子が直接祝辞を述べたいということで実現した会談だと聞いていたが、ジェラルドが呼んだオーギュストはいいとして、どうしてリュアンとラケルの姿がここにあるのだと、セシリーは混乱する。
ファーリスデル風の優美な礼装を着こなしてきたふたりは額縁に入れて家宝にしておきたいくらい決まっていたが、それよりも今はこの面談がどのような行方を辿るのか、セシリーは目が離せなくなった。
「当国に続き、そちらでも聖女たる資格を持つ者が見つかったということで……これで、手を取り合い『大災厄』へと立ち向かうことができそうだ。両国の繁栄をより確かなものとするためにも、しっかりと私たちの代でも緊密な関係を維持しておきたい。その為に一度腹を割って話しておきたかったのですよ」
「その前に……」
ジェラルドは目の前でにっこりと微笑むレオリンに向かって、こちらも貴公子然とした表情で応じた。
「そこの赤髪の彼はおいておくとして……詳しい事情は省きますが、その団長だとかいうリュアンなる者が当国から故あって放逐された身であることは、王家に連なるあなたであればご存じでありましょう。彼をあなた方がヴェルナー家に向かい入れるにあたって交わされた取り決めを知らぬというわけには参りませぬぞ……然るべき事情なくば、即刻この国から送還させていただく」
ファーリスデル風の優美な礼装を着こなしてきたふたりは額縁に入れて家宝にしておきたいくらい決まっていたが、それよりも今はこの面談がどのような行方を辿るのか、セシリーは目が離せなくなった。
「当国に続き、そちらでも聖女たる資格を持つ者が見つかったということで……これで、手を取り合い『大災厄』へと立ち向かうことができそうだ。両国の繁栄をより確かなものとするためにも、しっかりと私たちの代でも緊密な関係を維持しておきたい。その為に一度腹を割って話しておきたかったのですよ」
「その前に……」
ジェラルドは目の前でにっこりと微笑むレオリンに向かって、こちらも貴公子然とした表情で応じた。
「そこの赤髪の彼はおいておくとして……詳しい事情は省きますが、その団長だとかいうリュアンなる者が当国から故あって放逐された身であることは、王家に連なるあなたであればご存じでありましょう。彼をあなた方がヴェルナー家に向かい入れるにあたって交わされた取り決めを知らぬというわけには参りませぬぞ……然るべき事情なくば、即刻この国から送還させていただく」