冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
次代の王として国を担う。そんな覚悟を込めての言葉。しかしそこに、ラケルは黙っていられないと言うように手を拡げて叫んだ。
「そんなのっ……あなたたちが勝手にセシリーに役目を押し付けているだけじゃないですか! おかしいでしょ、彼女は元は僕たちと一緒で平民として暮らしてた。それをお父さんが貴族籍を買い上げて伯爵令嬢ってことになったけど……僕らと一緒に楽しそうに働いてくれてたのに! それが聖女だからってどうして彼女の意思も関係なく、どっちの国のものだとか取り合いにして、ふざけないで下さいよ! 彼女は僕にとっても大切な友達なんだ!」
ラケルはただの一般市民だ。本来ならば王太子に不遜な口を聞いたというだけで刑に処されかねないところだが、ジェラルドは動き出そうとした兵たちを制し、彼を冷たく見下ろす。
「……なぜ君がここに来たかはわかった。だがな、彼女が役目を果たさないということは、他の多くの者が大事な人間を失う事態に発展するということなのだ。それでも君は彼女を庇えるか?」
「そんなの……わかんないよ! でも誰も彼女個人を守ってあげられないと言うなら、僕が……守る! ねえセシリー、本当にこのまま向こうに帰れなくなってもいいの!?」
「セシリー、お前の意思を聞きたい。お前はどうしたい? 素直な気持ちを言ってくれ」
「私は……」
「そんなのっ……あなたたちが勝手にセシリーに役目を押し付けているだけじゃないですか! おかしいでしょ、彼女は元は僕たちと一緒で平民として暮らしてた。それをお父さんが貴族籍を買い上げて伯爵令嬢ってことになったけど……僕らと一緒に楽しそうに働いてくれてたのに! それが聖女だからってどうして彼女の意思も関係なく、どっちの国のものだとか取り合いにして、ふざけないで下さいよ! 彼女は僕にとっても大切な友達なんだ!」
ラケルはただの一般市民だ。本来ならば王太子に不遜な口を聞いたというだけで刑に処されかねないところだが、ジェラルドは動き出そうとした兵たちを制し、彼を冷たく見下ろす。
「……なぜ君がここに来たかはわかった。だがな、彼女が役目を果たさないということは、他の多くの者が大事な人間を失う事態に発展するということなのだ。それでも君は彼女を庇えるか?」
「そんなの……わかんないよ! でも誰も彼女個人を守ってあげられないと言うなら、僕が……守る! ねえセシリー、本当にこのまま向こうに帰れなくなってもいいの!?」
「セシリー、お前の意思を聞きたい。お前はどうしたい? 素直な気持ちを言ってくれ」
「私は……」