冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 オーギュストがジェラルドとレオリン双方に確認すると、レオリンは自信ありげに頷き、ジェラルドも、ふたつ返事で相手を指定した。

「ならば、俺の相手はレイアム……いや、今はリュアンだったな。貴様に務めてもらう。この後予定も控えている……本日この場所で、けりを付けさせてもらうがいいか?」
「もちろんです。ジェラルド殿」

 リュアンはしっかりと頷くと、セシリーをに目線を向け力強く頷く。待っていてくれ――そう言うかのように……。

「では中庭に移動するぞ。さすがに室内でやり合うわけにはいかんからな」
「では行こうか、セシリー」
「お父様……どうしてこんな」 
「私にとってもこれはまたとないチャンスになのでな。いずれが娘を任せるに足る男かを知る、絶好の機会だ」

 ひとつウインクするとオーギュストはセシリーの背中を押した。その表情に浮かぶのは、稀に見せる未知の商品を品定めする時の期待感であるかのようにセシリーには感じられ、よくもこんな場でと不謹慎な父親にセシリーは目を吊り上げた。
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