冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
本で見かけた知識でうろ覚えだが、魔法を使える素養のある人は、千人いて五人とか三人とか、そんなわずかな比率だったはずだ。魔物との戦いで戦力になるような使い手だと、もっと少なくなるのだろう。頼りになりそうな彼の姿に、セシリーは小さく溜め息を吐く。
(はあ、うちのお父様とは大違いよね……)
ちなみに実は父も魔法を使うが、幼い頃得意そうに披露してくれたのは両目から閃光を放ち敵の目を眩ますというしょぼいもので、絶対に大した使い手ではない。そんな馬鹿らしい魔法で喜んでいた幼い自分にセシリーがげんなりしていると、ラケルはを自分の顔を指さして満面の笑みを浮かべた。
「そうなんですよ! だから実は僕、なんちゃってエリートだったりしちゃうんですよね。へへっ、すごいでしょ!」
「ぷっ! なんちゃってって……」
彼の明るい仕草にはつい笑いが込み上げ、いつしか昨日のことで男性に感じていた不信感や恐怖は嘘のように小さくなっていた。周りを元気にさせる陽性の気質はきっと彼の天性の才能だ。
(はあ、うちのお父様とは大違いよね……)
ちなみに実は父も魔法を使うが、幼い頃得意そうに披露してくれたのは両目から閃光を放ち敵の目を眩ますというしょぼいもので、絶対に大した使い手ではない。そんな馬鹿らしい魔法で喜んでいた幼い自分にセシリーがげんなりしていると、ラケルはを自分の顔を指さして満面の笑みを浮かべた。
「そうなんですよ! だから実は僕、なんちゃってエリートだったりしちゃうんですよね。へへっ、すごいでしょ!」
「ぷっ! なんちゃってって……」
彼の明るい仕草にはつい笑いが込み上げ、いつしか昨日のことで男性に感じていた不信感や恐怖は嘘のように小さくなっていた。周りを元気にさせる陽性の気質はきっと彼の天性の才能だ。