冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
クライスベル邸への来訪者①
「では……今セシリー嬢は、我らが騎士団の本部へいらっしゃっていると?」
「そういうことですな」
王太子の婚約パレードの翌日、リュアンとキースはクライスベル邸を訪れていた。セシリーは不在だったが、入れ違いになっただけなのですぐ戻るだろうと、彼女の父であるオーギュストはリュアンたちを快く迎え入れてくれた。
今応接室で彼はにこやかな笑みをたたえ、両手を体の前で組んでふたりを見つめている。しかし、それがどうも品定めをするかのように感じられ、リュアンは居心地の悪さを隠せなかった。
「いやはや、まさか国家のエリートであらせられる魔法騎士団のおふたりが、我が愛娘に会いに来てくださるとは。あの子も喜びましょう」
「恐縮です」
リュアンは心中で、「俺に平手をくれた女がそんな簡単に心変わりしているはずないだろう」、などと愚痴っぽいことを考えていたのだが、当然声に出すことはしない。
「そういうことですな」
王太子の婚約パレードの翌日、リュアンとキースはクライスベル邸を訪れていた。セシリーは不在だったが、入れ違いになっただけなのですぐ戻るだろうと、彼女の父であるオーギュストはリュアンたちを快く迎え入れてくれた。
今応接室で彼はにこやかな笑みをたたえ、両手を体の前で組んでふたりを見つめている。しかし、それがどうも品定めをするかのように感じられ、リュアンは居心地の悪さを隠せなかった。
「いやはや、まさか国家のエリートであらせられる魔法騎士団のおふたりが、我が愛娘に会いに来てくださるとは。あの子も喜びましょう」
「恐縮です」
リュアンは心中で、「俺に平手をくれた女がそんな簡単に心変わりしているはずないだろう」、などと愚痴っぽいことを考えていたのだが、当然声に出すことはしない。