冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
最終章 節刻みの舞踏会と封印の終わり
魔法騎士団への帰還
そびえると言うにはいささかこじんまりとしている……しかし、セシリーにとっては、どんな素敵なお城よりも再び訪れることを望んでいた場所だった。玄関口の両脇に吊るされた、ファーリスデル王国の紋章付の垂れ幕が目にはっきりと飛び込んでくる。
魔法騎士団本部――その黒っぽい外観の建物は以前と変わらぬ趣でセシリーを迎えてくれた。ここを訪れなくなってから一カ月程度しか経っていないのだから当たり前なのかもしれない。しかしそんな小さなことも……彼女の胸に喜びの実感を湧き上がらせてくれる。
「……ただいま」
「……あっ」
そっとその入り口扉を開けると、受付台の前で驚きの顔で迎えてくれたのはロージーだ。彼女は目をぱちぱちさせると、ゆっくりとその顔を満面の笑顔に変え、セシリーの元に近づくと両手を広げた。
「――おかえりっ! 色々あったみたいね」
「ええ……でもまた戻って来ることができました!」
魔法騎士団本部――その黒っぽい外観の建物は以前と変わらぬ趣でセシリーを迎えてくれた。ここを訪れなくなってから一カ月程度しか経っていないのだから当たり前なのかもしれない。しかしそんな小さなことも……彼女の胸に喜びの実感を湧き上がらせてくれる。
「……ただいま」
「……あっ」
そっとその入り口扉を開けると、受付台の前で驚きの顔で迎えてくれたのはロージーだ。彼女は目をぱちぱちさせると、ゆっくりとその顔を満面の笑顔に変え、セシリーの元に近づくと両手を広げた。
「――おかえりっ! 色々あったみたいね」
「ええ……でもまた戻って来ることができました!」