冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
変わってしまったラケル
エイラと入れ替わりで魔法騎士団に戻ってきた翌日の昼、セシリーはリルルの散歩を口実にラケルと街へ出た。だが、いつも快くお守り役を引き受けてくれる彼は気が進まない様子で、渋々といった様子で隣を歩いている。昼食で腕を振るったつもりだった、以前美味しそうに食べてくれていたハンバーグだって半分ほど残されていて……何かあったのだと思わずにはいられなかった。
「あ、あの……ごめんね。色々迷惑かけて……元気が無さそうだったから気分転換に話せればと思って」
「ううん、君のせいじゃない。これは僕の気持ちの問題だから」
ラケルは弱々しい笑みを浮かべただけで理由を話そうとはしない。手に持ったリードの先のリルルと視線を交わし、セシリーは心の中で尋ねる。
(ね、リルル。ラケルになにか聞いてない? 私に何かされたとか……どこか、体の調子が悪いとか)
(知んない。だってこいつ、ボクのことまで忘れて先に帰っちゃったんだよ。許せない……砂でもかけてやりたい気分さ)
(こらこら……)
リルルは後ろ足で地面を蹴る真似をし、セシリーはそれをなだめる。どうせ石畳なので下には大した砂利も無いのだけれど。
「あ、あの……ごめんね。色々迷惑かけて……元気が無さそうだったから気分転換に話せればと思って」
「ううん、君のせいじゃない。これは僕の気持ちの問題だから」
ラケルは弱々しい笑みを浮かべただけで理由を話そうとはしない。手に持ったリードの先のリルルと視線を交わし、セシリーは心の中で尋ねる。
(ね、リルル。ラケルになにか聞いてない? 私に何かされたとか……どこか、体の調子が悪いとか)
(知んない。だってこいつ、ボクのことまで忘れて先に帰っちゃったんだよ。許せない……砂でもかけてやりたい気分さ)
(こらこら……)
リルルは後ろ足で地面を蹴る真似をし、セシリーはそれをなだめる。どうせ石畳なので下には大した砂利も無いのだけれど。