冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
セシリーはその紙片をじっと見た後、明かりに透かす。商会の娘なので、紙に使われた材質がしっかりした高級なものであることは分かったが、さすがに販売元から流通を辿るのは無理がある。しかし……。
「紙もですけど、このインク……すごく質のいい物で、香りづけまでされてる。普通松煙なんかを原料にするんですけど、何か混ぜ込んである特殊なものみたいで、あんまり使っている人はいないんじゃないでしょうか。……そうだ、リルルに聞けばわかるかも!」
「聞くと言いましてもね……」
渋い顔をするキースに、セシリーはガレイタムで彼と会話できるようになったことを明かす。どうもぴんとこない様子の彼だったが、セシリーが真剣な顔で話すのを聞いてやっと納得してくれた。
そして三人は騎士団の脇に構えられた狼小屋にお邪魔した。リルルは散歩後で疲れたのかうつぶせに寝そべっており、片目で眠たそうにセシリーたちを見上げる。
(なあに? ボク、眠いんだけどなぁ……)
「うわぁ、白い狼なんて初めて見た。触っても大丈夫?」
(ボクを一目で狼と分かるなんて中々見どころのあるヒトだね。どうぞどうぞ)
「紙もですけど、このインク……すごく質のいい物で、香りづけまでされてる。普通松煙なんかを原料にするんですけど、何か混ぜ込んである特殊なものみたいで、あんまり使っている人はいないんじゃないでしょうか。……そうだ、リルルに聞けばわかるかも!」
「聞くと言いましてもね……」
渋い顔をするキースに、セシリーはガレイタムで彼と会話できるようになったことを明かす。どうもぴんとこない様子の彼だったが、セシリーが真剣な顔で話すのを聞いてやっと納得してくれた。
そして三人は騎士団の脇に構えられた狼小屋にお邪魔した。リルルは散歩後で疲れたのかうつぶせに寝そべっており、片目で眠たそうにセシリーたちを見上げる。
(なあに? ボク、眠いんだけどなぁ……)
「うわぁ、白い狼なんて初めて見た。触っても大丈夫?」
(ボクを一目で狼と分かるなんて中々見どころのあるヒトだね。どうぞどうぞ)