冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「あの後思い出したんですが……うちの商会の前で騒ぎになった時、フォル……なんとかとかいう人の名前が出たんです。貴族っぽい服装をした人でした……」
「ええ、ラケルからも聞いています。ベジエ子爵と彼の接点を考えると、その上にはある人物の名が浮上しますが……。困りましたね……」
明快な答えを得ている様子にもかかわらず、キースはそこで言い淀み、話を変える。
「不甲斐なく思いますが、現状私たちにできるのは商会周辺を警護することくらいになるでしょう。これ以上は証拠を探すことも難しくなるかもしれません」
「ど、どうしてですか? ルバートさんもあんなに酷いことされて、私たちだって……商会の評判をいいようにされて、黙って泣き寝入りなんて……」
すると彼は珍しく弱った表情を浮かべた。
「実は……私も、正騎士団に所属している父に頭の痛い話を聞かされましてね。現在父は顧問として活動しているのですが……正騎士団の団長とも関わりのある人物が、魔法騎士団の解体を画策し、団長の罷免を直接国王へ陳情したようです。彼はどうやら前々からこちらのことをよく思っていなかったらしい」
「ええ、ラケルからも聞いています。ベジエ子爵と彼の接点を考えると、その上にはある人物の名が浮上しますが……。困りましたね……」
明快な答えを得ている様子にもかかわらず、キースはそこで言い淀み、話を変える。
「不甲斐なく思いますが、現状私たちにできるのは商会周辺を警護することくらいになるでしょう。これ以上は証拠を探すことも難しくなるかもしれません」
「ど、どうしてですか? ルバートさんもあんなに酷いことされて、私たちだって……商会の評判をいいようにされて、黙って泣き寝入りなんて……」
すると彼は珍しく弱った表情を浮かべた。
「実は……私も、正騎士団に所属している父に頭の痛い話を聞かされましてね。現在父は顧問として活動しているのですが……正騎士団の団長とも関わりのある人物が、魔法騎士団の解体を画策し、団長の罷免を直接国王へ陳情したようです。彼はどうやら前々からこちらのことをよく思っていなかったらしい」